135話 線。
燃料をありがとうございました。
どうかお楽しみください。
「こたびの【死霊魔王】との戦い、誠に大義であった。勇者たちよ」
聖剣の間。
勇者ブレンがそう呼んだ、床も壁も煌びやかな黄金一色で染め上げられたその広間。
おそらくは転移でしか訪れることのできない、王城の中でも限られたものしか立ち入ることのできない一室で。
僕たち【輝く月】の四人と【黎明の陽】のふたり、勇者ブレンと星弓士ステアはこの国の王、オルドライト陛下と謁見していた。
「戦いを終えたばかりの其方らのいまの有り様を見れば、【死霊魔王】との戦い、それがどれほど過酷であったかは目に見えてわかる。【黎明の陽】、そして【輝く月】。その辛苦と働きには、十二分に報いよう」
ひざまずき、うつむく僕たちの上から陛下のお声がかけられる。
その声は、まぎれもなく為政者としての威厳に満ちて、けれどどこか僕には――疲れきっているようにも感じられた。
「まずはみな、面を上げよ」
その声に応え、僕は顔を上げ――え?
見えない?
影に、なっていた。
「うむ。さて、まずは【黎明の陽】。無念にも散った聖騎士パラッドについては、誠に残念であった。かの者の遺族には十分な見舞金を用意し、盛大に弔うことでその手向けとしたい」
壁も床も黄金一色で染め上げられたその空間。高く階段の上に用意されたその玉座に座る、老いた王。
ちょうど、その直線上。まるでその姿を隠すように、黄金一色のこの広間の中、そこだけ青黒い【光】の線が一本、真ん中に縦に、走っている。
なんだ……!? これ……!?
それは、得体の知れない異様な感覚。僕はすぐにまわりに目を走らせた。
けれど、おかしい。
みな一様に聴き入っていた。
黄金騎士。苦渋の表情を浮かべる勇者ブレン。無表情のロココ、緊張で落ち着かない様子のディシー、感激に目を潤ませるニーべリージュ。意外にも堂々としたステア。
その表情に違いこそあれ、まっすぐに顔を向け、みな一様にその為政者の言葉を聞き漏らすまいと、ただ見入っているだけだった。まるで、その姿が、顔がくっきりと見えているかのように。
まさか……!? 僕だけ……!?
「次に、ここには居らぬが聖女マリーア。魔王による呪いの類を受け、いたましい姿になり果てたと聞くが、できるかぎりの手はつくそう。また、もし呪いを解くことが叶わぬとも、つつがなく暮らせる手立ては整えよう」
威厳に満ちたと同時に疲れきった声のまま、老王の話は続く。
ただひとり、僕だけを混乱と困惑の渦の中、置き去りにしたままで。
お読みいただきありがとうございます。ブクマ、評価、いいね! などいただきました方、深く感謝申し上げます。あたたかい感想をいただけたら、うれしいです。
そして、まだまだ切実にお願いいたします。どうか燃料をください……!
ということで、ただひとりノエルだけが異変を感じる中での老王との謁見が続きます。はたして異変の正体とは……?
次回「宣告」
書ききりますので、これからもどうかよろしくお願いいたします……!





