124話 連携。
「拡がり、踊れ! 穿ち、抉れ! 尽く!」
「我は刻み、我は顕す! その幾千なる腕を以て、我が敵を塵芥、影も残さず万象一切圧し潰し、無に還せ! 【幾千なる亡者の腕】!」
「征くぞ! 英霊よ! 私とともに! はああああああっ!」
「貴様らぁ! 人間がぁ! わたくしをなめるなぁぁっ! 【衆愚なる死霊の手】!」
天高く陽が上り、時刻は昼を越え、夕にさしかかり始めたグランディル山の頂の、いまやただの瓦礫跡と化した遺跡にて。
僕たち【輝く月】と【死霊聖魔女王】〝玩弄〟のネクロディギス・マリーアとの決戦。
僕の【虚ノ鏡】をきっかけとして、その最終局面が幕を開ける。
そう。いまこの千載一遇の勝機に押しきれなければ、僕たちの勝利はないという意味での最終局面において。
「はあああああっ!」
「があああああっ!」
槍斧で、呪紋で、黒き精霊の【腕】で【死霊聖魔女王】を狙うその展開は、手も足もでなかったついさっきまでとまさに酷似していた。
「あの邪魔な【手】はあたしがさばくよ! だから、ニーべさん! ロココちゃんも! 狙って!」
「ああ! まかせた! そして、まかせろ! ディシー! はああっ!」
「ぐっ……!?」
「そこ! 抉れ!」
「があああぁっ!?」
だが、違う。
さっき僕の動きを隠すためだけに、ただ派手に手数を増やし陽動に徹していたときとは、まるで。
「き、貴様らぁ……! どいつもこいつも、いまいましいぃ……! いま、まとめて斬り殺してや――」
「苛み、縛れ! 縊り、捩れ!」
「――な、がっ!? き、貴様ぁ! わたくしの腕を!」
「よくやった! ロココ! はああ! そこだ! 【焔霊断撃】!」
「いまだよ! 【クロちゃん】! あんなやつ、ぼっこぼこにしちゃって!」
「がああああぁぁっ!?」
ときに防御を、ときに攻撃を、からめ手を。互いの役割を入れ替えながら縦横無尽に連携し、パーティーとして、【輝く月】として戦うロココたち。
その連携が、地力でははるかに勝るはずの、だが頭に血が上り憎悪に目がくらんだいまの【死霊聖魔女王】を完全に翻弄する。
そして。
「はあああっ! 【焔霊突貫】!」
「穿ち、抉り、そして貫け!」
「【クロちゃん】! いまだよ! おもいっきりぶん殴っちゃえ!」
「があはああぁぁぁっ……!?」
一瞬の隙をついて、大技が。青い霊火を全身にまとったニーべリージュの突貫が。ロココの幾重にも重ねた回転しながら進む赤い呪紋が。ディシーの巨大に形成した黒き精霊の【腕】が【死霊聖魔女王】に突き刺さり、その体を吹き飛ばした。
「ぐ……がっ……! このわたくしに……土を……! 許……さん……! 人間……ごとき……が……! こ……い……!」
地に転がり、その全身を擦り切れさせた【死霊聖魔女王】が這いつくばりながら、唇をわなわなと震わせながら、つんざくような絶叫を上げた。
「来いぃっ……! 憐れで惨めな死霊どもぉっ……! 【死霊行軍】!」
……え?
その瞬間、遺跡すべてを覆いつくすほどの巨大な黒い魔法陣が浮かび上がり、そして。
オオオオオオオオオオオオオオ……!
地の底から響くような怨嗟の声とともに、見渡すかぎりのすべてを埋めつくす、無数の死霊の軍勢が現れた。
お読みいただきありがとうございます。ブクマ、評価、いいね! などいただきました方、深く感謝申し上げます。あたたかい感想をいただけたら、うれしいです。
そして、切実にお願いします。どうか燃料をください……!
ということで、ロココたちの連携で【死霊聖魔女王】をかなり削りつつ、その奥の手【死霊行軍】が発動しました。
なお、現在ストックのない状態での執筆となっております。なるべく毎日更新したいとは思っていますが、できなかったときは申し訳ありません。本日更新が遅くなったのもそのためです。
次回「【死霊行軍】」
ですが書ききりますので、これからもどうかよろしくお願いいたします。





