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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第2部 死霊行軍】3章 闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか?

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122話 鏡。

「うふふ。まさか、このわたくしがここまで追いつめられるなんて……! 本当に愉しませてくれる人間たちだわ。期待外れの【光】の勇者たちとは大違い。ただ、残念。惜しかったわね?」


「はあっ……! はあっ……! はあっ……!」


 天高く陽が上り、時刻は昼を越えたグランディル山の頂の、いまやただの瓦礫跡と化した遺跡にて。


 根本に残ったわずかな刃先だけを残して愛用の黒刀を失い、いま持てる魔力をすべて出しつくし、がっくりとひざをつく僕。


 その目の前で、その異形の両腕を失った【死霊聖魔女王】〝玩弄〟のネクロディギス・マリーアは、だがそれを意に介した様子もなく、嘲るように笑う。


「うふふ。先ほどもいったでしょう? この体がなじんできた、と……! そう……! いまやすべて一体となったわたくしの体として操れるほどに……!」


 いうが早いか【死霊聖魔女王】の両肩から黒いもやが伸びだした。


 左のもやはそのまま新たな死霊の腕を形成し、そして右のもやは【光】の聖剣を握っていた勇者ブレンの右腕を拾い上げ、肩口と接合する。


 その感触をたしかめるように、聖剣を軽く振りながら、【死霊聖魔女王】はその艶やかな唇を薄くつり上げた。


「どう? 見てのとおり、最初は拒絶反応を起こしかねなかったこの【光】の勇者の右腕も、いまや完全にこのわたくしの【闇】の体と一体になったわ……! そう、こんなことすらも可能にするほどに……!」


 【死霊聖魔女王】がつぶやくと同時、その肢体に変化が起きる。筋肉質でつりあいのとれていなかった右腕が細くしなやかになり、左の真っ黒な死霊の腕が白い肌に、人間の腕へと変わっていった。


 それはまさしく、完全な聖女マリーアの姿。


「うふふふ……! どうかしら? ノエル。これで完璧でしょう? 貴方たちがいうところの【聖女】……! 【英雄】……! 貴方たち人間を玩具としてもてあそび、蹂躙するのにふさわしい姿……!」


 右手に聖剣を、左手に死霊の剣をたずさえながら、一歩一歩【死霊聖魔女王】が僕のもとへと歩みよる。



「「「ノエル!」」」


「あら? 野暮ね。いまいいところなのに。うふふ。でも、させないわ。【死霊滅陣(デスグランド)】」


「「「うっ……!?」」」


 駆けつけようとするロココたち3人と僕の間をあたり一面に広がる黒い霊火の壁がさえぎる。

 

「うふふ。これでもう邪魔は入らない。ノエル。この空間は、貴方とわたくしのふたりっきりよ」


「はっ……! はっ……! はっ……!」


 がっくりとひざをつきながら、ようやく荒い息をととのえはじめた僕を【死霊聖魔女王】はすぐそばで艶然と見下ろした。


「うふふ。ノエル。わたくしをここまで追いつめ、愉しませてくれた褒美に、選ばせてあげましょう……! 貴方は【光】の聖剣と【闇】の【死霊魔剣(デスブレイド)】。どちらで命を絶たれるのがお望みかしら?」


「はっ……。はっ……。はっ……」


 その問いには答えず、僕はただ息をととのえることだけに専念する。


「うふふ。そう。せっかく聞いてあげたのに、無視するなんて残念だわ……! そうね。それじゃあ、両方にしてあげましょう……! さよなら、ノエル……!」


 左右から同時に挟みこむように【光】と【闇】の斬撃が僕を襲――


 これを……! 待ってた……!


「レイス流暗殺術、奥義ノ参……! 【虚ノ鏡(フェイタル・ミラー)】……!」




「がっ……!? はっ……!?」


 ――ふたたびひざをつき、見上げれば【死霊聖魔女王】が青ざめ、後ずさっていた。


「な、な、なっ……!? き、きさ、貴様ぁっ……!? いま、いまこのわたくしにぃぃっ……! なにをしたぁぁっ……!?」


 いま起きたことが信じられないといったものすごい形相で、自らの胸に突き立てられた【光】と【闇】の刃にその赤い瞳孔を血走ったように見開きながら。






お読みいただきありがとうございます。ブクマ、評価、いいね! などいただきました方、深く感謝申し上げます。あたたかい感想をいただけたら、うれしいです。



ということで、起死回生の一手となるノエルの奥義の参が決まりました。詳細は次回。三大奥義なのでこれですべてです。


次回「紙一重」


これからもどうかよろしくお願いいたします。

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