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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第2部 死霊行軍】2章 落ちる陽、堕ちた光。

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111話 違う光景。※

※この章は基本的に別視点。三人称でお送りします。

「いやぁっ! もういやぁっ! もうかえりたいよぉ……! ぱぱ……! ままぁ……!」


 天高く陽が上り、時刻は昼を越えたグランディル山の頂の遺跡、その瓦礫跡のひとつにて。


 ついに恐怖にかられた星弓士(せいきゅうし)の少女ステアがふたたび泣きじゃくりはじめた。


 それを聞いた【死霊魔王】〝玩弄〟のネクロディギスがゆっくりと振り返る。


 その眼窩に映るのは、ぺたんと地べたにに座りこみ、下着一枚で幼子のように泣く少女の姿。


「ステア。そんなに泣くでない。ほれ、あと一枚じゃ。さっさと脱ぎ、そして地面に頭をつけよ」


 感情を含まない声で【死霊魔王】がいい放つ。


「いやぁ……! もうやだぁ……! こわい……! こわいよぉ……! ぱぱぁ……! ままぁ……!」


 ……ああ。うるさいのう。この小娘。


 つい先ほどまで。【光】の勇者ブレンが襲いかかる前までならば、【死霊魔王】はまったく違った感想をいだいていただろう。


 半裸でとり乱す少女の惨めで嗜虐心をあおる姿を存分に嘲笑い、自らの愉悦として愉しんだはずだ。


 だが、不意討ちから始まった勇者ブレンとの戦闘の直後のいま、少女ステアの悲鳴はただただ【死霊魔王】にとって耳ざわりなだけだった。


 ゆえに。



「ひっ……!?」


「のう。ステア。いますぐ泣き止み、さっさと儂との約定を果たせ。その細首、まだへし折られたくはなかろう?」


 少女の首はおろか、その華奢な体全体に【死霊魔王】の異様に肥大化した異形の手がかけられる。


「い、いや……!?」


 グ……!


 少女の体を包む手の圧力が徐々に徐々に強まっていく。


「いや、いや……!?」


 グググ……!


「いやぁぁぁぁぁっ!? だれかっ!? たすけてぇぇぇ!?」


 グググググ……!



『主従そろって、吐き気のするような下衆だね……!』


「なんじゃ!? があぁぁぁっ!?」


「レイス流暗殺術! 奥義! 【虚影零突破ゼロハイド・ストライク】!」


 その『声』のした直後、一陣の風が吹き、その少年は矢のような速度で現れた。


 【虚影零突破ゼロハイド・ストライク】。


 かつて【黎明の陽(デイブレイク)】と名乗る前の【光】の勇者パーティーと【獣魔王】との戦いで反撃の口火となった、この少年の必殺奥義。


 かつて【獣魔王】の半身に風穴を開けたその技は、いまもまた【死霊魔王】の体の一部とともに、少女を拘束していた異形の腕をぶち抜いた。


「これを使って」


「あ……。あり、がと……」


 技の反動でがくりとひざをつくと同時に、半裸のステアに向かって、少年は自らの黒コートを放り投げる。


 ステアは助かった安堵とともに涙をいっぱいにためた瞳で、その黒コートを胸の前でぎゅうっと抱きしめた。



「ノエ……ル……!?」


 血だまりの中、倒れ伏す【光】の勇者ブレンはかすれた声で、突如として現れたその少年の名前を呼んだ。


 それは、あの【獣魔王】との戦いで見た光景と同じもの。


 ただ、違うのは――



「縛れ! 穿て!」


「さあ! 英霊たちよ! 私とともに征こう!」


「いっけぇ! 【クロちゃぁぁん】!」



 ――そのあとに続く少年の仲間が、もう自分たちではないという、ただその事実だけだった。

お読みいただきありがとうございます。ブクマ、評価などいただきました方、深く感謝申し上げます。 

あたたかい感想をいただけたら、うれしいです。



というわけで、【輝く月(ルミナス)】の乱入により、なだれこむように決戦開始です。


次回、「【輝く月(ルミナス)】対【死霊魔王】(前編)」。

ここから通常視点に戻ります。2章はあと3回です。

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