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ジジイの洋裁店
俺が散歩から戻っても、アリスはまだ店から出て来てないみたいだった。レオンを見ると、魔石を懸命に磨いている。
「よう、何してんだよ。」
俺の声にレオンは驚き、魔石を取りこぼす。俺の近くにそれは落ちた。
「ア、アリスさまにプレゼントしようかなーって…。」
こいつ、マジじゃないですか。しかもそれ、お前が初めて手に入れて宝物にしたっていうやつじゃないですか…。
「あんな綺麗な人、初めて見たんだ。」
「…そっか。ま、頑張れよ。きっと喜ぶぜ。」
「うん!」
ガチャ。洋裁店の扉が開く。
「お、アリス。」
両手いっぱいに服を抱えたアリスが店から出て来た。こいつ、メイド服に着替えてるじゃん。
「じゃあなジジイ!俺がまた来るまで、店潰すんじゃねぇぞ!バーカ!」
そう言うや否や、アリスは服の束を、幌馬車の中に放り込む。
「…よしレオン、それ持って帰っとけ。俺はちょっと観光してくっからよ。」
レオンは、アリスの突然の言葉遣いの変化にキョトンとしている。
あっという間に、アリスはどこかへ行ってしまった。




