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ジジイの洋裁店
ジジイは総白髪で、毛糸の編み帽子を被っていて、上はシャツに革のベスト、下はジーンズという格好だわ。しゃがれた声で時折唸りながら作業をする姿は、お世辞抜きに〝漢のダンディズム〟に溢れていてシビレたわ。俺はこういうのに弱いんだわ。
エプロンドレスは、みるみるうちに直されてしまいやがった。ジジイの裁縫スキルは最高のLV10。作業中の手の動きが凄過ぎるわ。
素人目にも神業だとわかる縫製技術と、作業中の真剣な眼光は、裁縫中のジジイを延々見ていられるな、と、思わせられる凄味に溢れていた。
「すげぇ腕だなオイ。本物の職人じゃんか。」
俺はありったけの服を注文しようとした。
だが、ジジイは断ろうとしやがった。
何でなんだよオイ。ぶん殴るぞジジイ。
「もう店じまいするつもりでな。」
「何で店畳むんだよ。やれよ。」
ジジイは少し寂しそうに、店内を見回す。
「見ればわかるだろう?経営難だ。」
もったいねぇ。でも、経営難ならしゃあねぇわ。




