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機能しない能力
「目障りですね。氷矢」
木の前にあぐらをかいて座っているエタースをめがけて、氷の棘が撃ち出された。
しかし、エタースも幻像である。
棘は幻像のエタースを突き抜けて木に刺さる。
そしてかき消えた幻像。
シャサもジャービルも驚きを隠せず、先程までエタースがいたはずの場所に瞬時に移動する。
それを見ながら、亜実は、吐き捨てる様に呟く。
「鈍感な人たちが気付かないのはともかくとして、私の鑑定や、666(セイシエンスタ・セセンタ・セイス)の眼含レーダーまで欺かれるなんて、一体どういうことなの?」
亜実が得た666(セイシエンスタ・セセンタ・セイス)の能力は、邪神から得た能力。
その辺の人間風情に後れを取るなど、あり得るはずがない、と亜実は内心驚いていた。
眼含レーダーは、自動で、あらゆるものを探知するはずだ。
セオドールとダーハムの亜空間、そして天地返しすら見破る、最上位の鑑定能力のはず。
それが機能せず、ゲドやエタースを見失うなど、あってはならない。
「魂さえ感知するはずなのに。一体何故?というか、あの酔っぱらいは一体どこへ?」
平静を装う声は、しかし、若干の混乱の色を含んでいたのかもしれなかった。




