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曖昧泣

フィリップの声は、兄には届かない。

それは、フィリップにとってはわかっていたことではあった。

しかし、認めることは出来ない。

フィリップは仮面を睨むが、仮面の騎士・亜実は意に介さず、混沌の面々へと意識を向けている。


「夜は暗いですね。666(セイシエンスタ・セセンタ・セイス)」


闇の中に、一層深い闇がいくつも現れる。

それは次第に、泣き顔の亡者どもの顔をかたち作る。


(くらい)(くらい)(くらい)


亜実がそう口にすると、泣き顔の亡者どもが、一斉に叫ぶ。

フィリップは急な頭痛と、胸と喉に込み上げる不快感をおぼえ、嘔吐した。

体が重くなり、立っていられない。


「さあ、来なさい」


亜実が顎を上げ、両手で手招きする。

シャサにはそれは、地獄の死神であるかの様に映った。

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