体調管理は大事
その瞬間、穴倉が走った。
超速で動く触手たちは瑠璃を進行方向に定め、穴倉を運ぶ。
そして触腕から放たれる、無数の液体炸薬。
爆風がアリスたちの眼前まで迫る程の威力で、ロイドは顔を斜めに向け、目を細めた。
ちらりと横を見ると、ガインは険しい顔で臨戦態勢だ。
そして魔人アリスは、半裸で背中を丸め、自らの肩を抱きながら、爆風に喜悦の表情を向けている。
「あったけぇ……!夜は冷えるから、この格好だと腹壊しそうで心配だったけど、これはいいわ」
ロイドがアリスの顔を見ると、鼻水が垂れている。
ガインもその様子を見た様で、毒気の抜かれた声を出す。
「ははは、魔人と言えども、体調管理は大事、といえるな。夏風邪などひかぬ様にせねばな」
ロイドは驚いてガインを見た。ガインの表情は幾分柔らかくなっていて、先程までの臨戦態勢の緊迫感はなくなっている。
ロイドは、アリスをまたも見る。
するとアリスは、両手を前方に突き出し、魔法で炎を発生させ、突き出した両手そのままに暖をとり始めた。
「おうガイン、お前腹巻きか何かないんか。やっぱ腹が心配だわ」
「む、すまん。持ち合わせていない」
「使えねぇな、ゴミゴブリンが。あぁ、腹が痛くなってきたわ。う●こがそこはかとなく柔らかくなりそうだわ」
「それは……困ったな」
「漏らしたらお前のせいだわ」
ガインが閉口し目を伏せる。何だか見てはいけないものを見た様な気持ちになったロイドは、顔をそむけた。
その動きを目端で捉えたアリスが、ロイドを何気なく瞳に映し、続けて顔を向けて見た。そして、ロイドのある装備に気付く。
「いいもんあんじゃねぇか。おい忍者」
お鉢がロイドに回ってきた。




