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ジャービルの右手
だからこそ、ネネクレアには一人でシャサとエタースを引きつけてもらいたかった。そうすれば、少年フィリップが助かる確率も跳ね上がる。
「炎斬!」
ジャービルが手刀を水平に薙ぐと、指先から一直線に炎が射出された。
セオドールはその炎を視認すると、すかさず動く。
ほんの一歩、左側に逸れただけで、炎斬は外れてしまった。
ジャービルは、闇夜に吸い込まれてゆく炎を眺めることしか出来ず、精神的に消耗し始めていた。
苦々しげな表情で、標的であるセオドールを尚も狙う。
しかし、セオドールはアダムを抱えたまま、またも簡単に避けてみせた。
その動きに、ジャービルは驚きを隠せない。
「何故だ?何故当たらない……?」
ジャービルは自分の右手をみる。
炎は纏われていない。
そして続けて、セオドールを見た。
セオドールは少し笑っている様な顔だ。
ジャービルの焦りの気持ちが増加する。
何故、いとも簡単に避けられる?
ジャービルの右手に炎が宿った。
水平に薙ぐと、またも、指先から炎が射出された。




