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宿敵と影

影の中から、メイドの姿をした女が現れる。

服部あずみである。

「外道ども、ここで会ったが百年目でござる」

あずみは険しい表情だ。そして、全員の顔を眺めた後、マシアスを見る。

あずみの脳裏に甦るは、マシアスに、魔法の短剣で縫いつけられたあの経験。

「こないだは、よくもやってくれたでござるな、ナイフ使い」

美しい顔を、敵意で歪めたあずみの顔は、およそ妖精といった雰囲気ではなく、戦いの中に生きる修羅さながらの鋭い顔だ。

「ここで会ったが百年目」

あずみは今、アリスと瑠璃の接近にショックを受けている。

自分からアリスを振ってはみたものの、アリスの言動でいちいち気持ちを揺さぶられることで、まだアリスを好きなのだ、と自覚した。そこで取った行動が、皆の前から姿を消すことだった。アリスの前から姿を消したい、今は会いたくないが、気も引きたい。そして、そんな自分に戸惑っている。

幸い、影を伝って、誰にも知られず移動出来るあずみの足跡は、誰にも知られない。仲間たちは自分をどう思っているのだろう。色んな者の反応を見たいあずみは、ロイドの影から森の木の影に移動し、網の目の様に張りめぐらされている木枝の影の中を移動して、メを発見したのだった。

そして何となくメの影に付いていたら、吸血鬼一行と出くわした、というわけなのだ。

アリスと瑠璃のことを思うと、そしてロイドのことを思うと、気持ちが(しお)れ、自分は独りぼっちなのだという実感が湧いて、心が重くなる。

そんな時に、怨敵マシアスと出くわしたのだ。

「恨み晴らさでおくべきか、でござる」

八つ当たりしない女など、いない。

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