所詮は
ロイドの記憶にあるガインは、激情家だ。
だがロイドは、優しくされた印象ばかりが残っていた。
きっと超人勇者の中にあるガイン像も、似たものだろう。
そう思いながら、ロイドはガインを見る。
ガインの背中に、あの日のガインの背中が重なる。
いつだって勇壮で、常に何かの為に、誰かの為に人の眼前に立ってきたガインその背中。
しかしそれは、本当に誰かの為だったのか?
自分の感情のままに、暴れていただけなのではないのか?
「聞け、ガイン!そして答えろ!この戦いは一体何の為だ!?奴に殺され食われたゴブリンの魂の安息の為か!?それとも貴様は感情のままに戦っているのか!?」
「両方、いや、つまるところ、ゴブリンである己の感情のままでしかありませぬ、王子!」
「それは……」
突き詰めれば、確かにそういうことなのかもしれない。
しかしそれでは、害獣の様な魔物たちと、何が違うというのだろうか。
ガインの言葉はロイドを落胆させたが、ガインの苛烈さは変わらず、沈静を望むロイドの気持ちと噛み合わない。
「王子、己の邪魔をしないでいただきたい!それとも、己と戦おうとでもいうのか!?」
ガインに向けられた戦意に、ロイドは困惑の気持ちを深める。
ガインが聖騎士と呼ばれるのは、魔物でありながら、強い克己の心で人間の為に戦うからであったはずだ。
そんなガインを目標として強くなったロイドにとって、自分にも感情の牙を剥いたガインは、あの日、自分を殺そうとした父王を思い起こさせるものがあった。
あれ以来、父王を慕う気持ちはロイドにはない。
それどころか、心のどこかで、魔物と変わらないとすら思っている。
ガインについても、急速に心が冷めてゆく。
「貴様も、所詮は魔物か」
「何!?」
ロイドが、ガインに斬りかかった。




