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ビクトー

森をアリスたちが徘徊している頃のこと。闇夜に蝙蝠の羽根をはばたかせ、飛ぶ存在がひとつ。


「ついに復活なされたのだ、我が王、狂える傲慢の魔王が。」


長かった。実に百年もの間、この時を待った。

この時の為に、ビクトーは黒き魂を持つ魔物を秘かに集めていた。

ビクトーを含め、幹部はほぼ出揃っていた。ビクトーは、最後の一人である、純粋なる悪しき魂を持つゴブリンの元に向かっていた。


純粋なる悪しき魂を持つゴブリン。それはゴグ・メだ。


メは、ゴブリンキングになる為の方法を探していた。ゴブリンに伝わる迷信、強さや賢さに秀でた者がダンジョンボスになれる、というものだが、これは、ゴブリンの中ではポピュラーなものであり、信じられていた。この話はゴブリンのみならず、人間の間でさえも信じられていた。


だが、真実を知るビクトーにとっては、この迷信は実に滑稽なものだ。ゴブリンキングになるには、ダンジョンコアさえあればいいのだから。しかし、そんなことを知るゴブリンなどいなかった。ビクトーは嗤う。ゴブリンという種族は、何と頭が悪く、哀れな存在なのか、と。ダンジョンコアを所持すれば、知能は多少なりとも上がって行く。ガインが、アリスとの初戦後に村に戻った辺りから、メの知能は上がっていたのだが、それはまた別の話である。


ビクトーは羽根をはばたかせ、尚も飛ぶ。ゴグ・メを引き入れることなど容易い。魔王の完全復活に必要な血と魂を捧げる、悪しきゴブリンが必要だ。それがもうすぐ手に入るのだ。ビクトーには、漆黒のはずの暗闇が、輝かしい色を持つものの様に感じられた。

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