漲るセオドールとダーハム
セオドールとダーハムは、蕀に加入する前から腕利きのコンビとして知られていた。
しかし、報酬を釣り上げる、悪質な守銭奴コンビという悪名でも知られていた。
そのセオドールとダーハムに、儲け話だと言って力を貸せと言うのだ。
生半可な事件ではない、とセオドールは思った。
「確かに厄介ごとなんだけど……」
やっぱりな、と半眼でミモザを見やるセオドール。
ダーハムは、ミモザとセオドールを交互に見ては、キーネの様子を窺う。
キーネは小瓶の蓋を閉めて、ゆっくりと口を開いた。
「ミモザ、内容がわからないと何とも言えないよ」
その鋭い眼光に、泥島とネネクレア以外の皆の真剣味が増した。
空気が張り詰める。
「……わかりました。単刀直入に言います。ジアナがシャサに拐われました。ギルド員としては放ってはおけないけど、私じゃどうにもならない」
ミモザが持って来る仕事は厄介なものが多い、とセオドールは思った。
「バカかお前。メイン職が吟遊詩人の俺らが、暗殺者のシャサに勝てるわけねーだろ」
そう言うが早いか、セオドールは二階へ向かう。
「ババア、俺たちは出てくよー」
ダーハムも階段を上がる。
軽快な口調と裏腹に、その目は血走っている。
キーネは、笑みながら目を瞑った。
「あんたたち、やる気じゃないか。うちの最高級の魔力回復ポーションだよ、飲んで行きな」
二階からの返事はない。
だが、聞こえてはいたのだろう。
セオドールとダーハムの二人が降りて来て、ポーションを飲み干した。
荷物を背負った、セオドール。
アダムを背負った、ダーハム。
「「場所を教えろ、ミモザ」」
その目には、闘志が漲っている。




