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おはよう、ネネクレア
ネネクレアが目覚めると、そこはキーネ商会の店内カウンターであった。
いつも通り居眠りをしていたのだ、と思ったネネクレアは伸びをして、奥で作業するキーネの方向に向き直った。
「おはようございますなのです」
「起きたかい」
大口を開けて欠伸をするネネクレアを一瞬見やったキーネは、微笑を口に浮かべて、手元の作業に戻る。
何やら小瓶の液体を、水差しの様な広口の容器にあけて、混ぜてゆくキーネを見ながら、ネネクレアはもう一度伸びをした。
「何か忘れてる気がするのです」
ネネクレアがそう言い終わった瞬間、二階の扉が閉まる音がした。
そして階段が軋む音がして、何かが降りて来る。
現れたのは、恰幅のいい男と、痩せた男の二人。
恰幅のいい男は、長い金髪に髭もじゃの汚い風貌だ。
もう一人は黒髪、黒ひげ。
こちらも決して清潔感があるとは言えない風貌だ。
「おいババア、何か食わせてくれ」
「ババア、何か食わせてよー」
セオドールとダーハムだ。
「あーっ!?」
ネネクレアはセオドールを指さし、叫ぶ。
風呂に入ったであろう、こざっぱりしたセオドールとダーハムが、ニヤニヤしながらネネクレアの前まで来る。
「起きたか、お嬢ちゃん」
「ごはん食べようよ、お嬢ちゃん」
ネネクレアが口をぱくぱくと開閉していると、扉が勢いよく開いた。




