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シャサの爪痕
しばしギルド内は無音となっていた。
開け放たれた扉からは、通りが見える。
いつの間にか、シャサはそこから外へ出たのか。
そのまま誰も口を開かぬまま、扉から見える外を眺めていた。
不意に誰かが動こうとした。
すると誰かが呟いた。
「動いたら殺されるぞ」
また誰かが呟いた。
「まだいるかも」
ギルド内に、緊張感が張り詰める。
誰も動かない、動けない。
呟いたのは、日中の一件を知る者たち。
混沌は、得体の知れないパーティーだと、かねてから有名ではあった。
そしてシャサは、その中でも、一際危ないことで有名だ。
だがまさか、超人勇者に軽くあしらわれて、戻って来るとは思いもしなかった。
しかも、引退したとはいえC級冒険者のジアナを、いとも簡単に拐うのだ。
そんなシャサを恐れるあまり、誰も動こうとはしなかった。




