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マルチ商法で例えるな

「竜か。何故まだ喋れる?お前は俺と一体化したんじゃないのか」


穴倉は自分の中にいる竜に語りかけた。

竜、ヴェドヴェドが答える。


『普段は俺もお前ダ。そしてお前が揺らいダ時、俺はお前の心の中デ、俺として目覚めル。』

「副人格みたいなものか」

『そうだナ、それに近イ。俺は竜。お前に力と知識ヲ与えル』

「ならその知識で答えてくれ。奴は何者だと思う?」


『あれハ、支配者の魂ダ』

「……何?支配者?」

『あの空間の支配者、……だっタ』

「だった?」

『お前があの空間ヲ壊シ、支配された魂を解き放っただろウ?』

「……支配された魂?」

『眠っていた、女神カプリスや、お前ダ』

「あれか」

『あれダ。お前のステータスから、女神の加護が消えているから見てみロ。』

「俺のステータスにそんなものがあったのか。知らなかった。……ん?加護って何?俺は女神に守られてたのか?」

『違ウ。(てい)のいい支配ダ』


「そうか。でもそれがなくなるとどうなるんだ?」

『魂の繋がりがなくなル』

「繋がりがなくなるとどうなる?」

『お前がお前でいられル。カプリスはカプリスに戻っタ』

「?」

『マルチ商法で例えよウ。支配者が親会員、カプリスが子会員、お前が孫会員ダ』

「世知辛い話だな。早く脱退したいなそこから」

『脱退したのダ。繋がりを断っタ。お前はカプリスから解き放たレ、カプリスは支配者から解き放たれた。晴れて無職ダ』

「何となくわかった様な気がする」


『お前が空間を傷つけてエラーを起こシ、隠していた魂の神殿を剥き出しにしタ。だから支配者ハ、魂を安全な場所に移す為に神殿に向かっタ。だが、お前が先に神殿に着き、まず自分の支配を喰っタ。カプリスの支配も喰ってしまっタ。あれでお前とカプリスはもう自由ダ。そしてあの空間はカプリスの支配下に戻り、我々と奴を異物だと気付き、追い出しタ』

「何かバイ菌みたいだな、俺」

『善玉菌ダ。カプリスは自我を持ったまマ、カプリスでない存在になりつつあっタ。お前はそれを救っタ』

「よくわからない。まあいいか。というか、マルチ商法で例えるなよ。何でそんなものを知ってる」

『与えられた知識ダ』


穴倉は眉間にしわを寄せた。

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