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空間の異物
穴倉が起きると、地面が様々な隆起をしていて、地平線の彼方まで見えていた黒い床だけの光景とは様子が異なっていた。
地面には草花が生え揃っていて、ほぼ以前の様子に戻っている。
違っているのは、穴倉が寝ていた窪みだけが、そのまま残っていることぐらいか。
「これが残ってるってことは、熱線砲の穴もあるかも」
むしろこの黒い床の破壊跡が、この花畑の空間における異物なのだろうが、穴倉にとっては床の破壊跡だけが今この空間における自分の足跡に他ならない。
「穴を探すか。多分こっち」
歩きながら、穴倉は顔を動かす。
首が回るのはせいぜい斜め前までだ。
「見にくい」
穴倉は草花を刈る。
すぐに草花が新しく生え揃うが、穴があるかどうかを見ることは出来そうだ。
熱線砲で開けた穴は、そう遠くではないはずだとは思ってはいたが、一刈りしたところに、それはあった。
斜めに地を穿った穴は深く、その先はよく見えなかった。
穴倉は頭の口を開けて、触手を束ね、穴に溶解液を一斉に流し込む。
「全部こうやって溶かせば、ここから出られるかも。フン」
荒唐無稽な一言に、自ら呆れ、鼻で笑う穴倉。
穴が広がっていく。




