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溶ける世界
「試してみるか」
伸ばした触手一本、その先端に口を作る。
そして口から液体がゴボゴボと溢れ出した。
溶解液だ。
液体は地に落ちると、じゅうじゅうと音を立て、床を溶かした。
溶解液だ。
床には窪みが出来、溶解液は霧散した。
穴倉は他の触手も束ね、一斉に溶解液を放出する。
窪みは、みるみる大きく、深くなった。
「直らない。何で」
床は溶けたまま、そのまま静止している。
再生も、新生もなされないままで。
「俺には変化がないのに、この空間には変化が生まれた。俺とこの空間には、因果関係がない?俺の知る世界なのに、俺の精神世界でないなら…そうか」
穴倉は歩き出した。
ぺたぺたと足音立てて、一見、どこへともなく、である。




