639/2233
突然の闇
不意に、辺りが暗闇に包まれた。
これまで、風に流された雲が太陽にかかって薄暗くなったり、時間の経過と共に夜になることはあっても、この様に、突然真っ暗闇になることなどなかった。
「星一つないのは初めてかも」
かも、ではなく初めてだった。
そして穴倉は間違いなくそれを記憶していた。
だが、穴倉しかいないこの空間において、初めての事象を断言することは、これまでにない大きな変化が始まる様にかんじられた。
なにがしかの変化を待ち望みながらも、ある一つの恐怖を拭えぬ穴倉は、自分に言い聞かせる様に『かも』と言及したのだった。
「さあ、どうするか」
星の瞬き一つない闇の中、穴倉は体を起こした。
頭から出る触手で地に触れる。
「ん?何だ?」
地の異状を知る穴倉。
そこにあるはずの草花も、土も、どこにもなかった。
あるのは、つるつるとした感触の床のみだ。




