蕀の森人
「そこで見てなって。こういう時は子供に合わせるんだよー」
すぐ後ろからしたダーハムの声は、意外に頼もしいとセオドールは思った。
だからこそアダムを受け取り、素直にダーハムに声をかける。
「任せた」
「まあ見てなって。この蕀のダーハムの凄さをさ」
得意気な顔を見せたダーハム。
セオドールは、自分が蕀のメンバーであることをそう鼻にかけてはいない。
利用出来る名前程度にしか考えていない。
だが、ダーハムはことあるごとに、蕀であることにチラリと誇りを見せる。
温厚な男ダーハムの心のうちの何かがそこにあると、セオドールは常々ぼんやり考えていた。
その蕀のダーハムが、真剣な表情でネネクレアと向かい合う。
一体どんなことを言い出すのか。
タツキ、ゴウ、ネネクレア、セオドールが見つめる中、ダーハムが口を開いた。
「コンニチハー。俺タチ森人。オ腹スイタヨー。」
一瞬の沈黙の後、タツキとゴウが一斉に武器を構えた。
ネネクレアは後方に控え、ゴミを見る様な目でダーハムを見る。
ダーハムが三人の顔を見ると、タツキは闘志の目を、ゴウは敵意の目を向け、ネネクレアは露骨に目を逸らした。
「あれー?」
「バカに期待した俺がバカだった。アダムおぶって黙ってろバカ」
セオドールからアダムをそっと受け取ったダーハムは、上唇も下唇もまとめて口内に巻き込む様に噛み込んで、黙った。




