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ルレットの違和感
何にせよ、考えられるのは実験動物だ。
師は、何らかの目的があって動いていた様だった。
それが何なのかは、ガインにはわからない。
だが、情報はある。
師、ルレット・ジョルカル・ランダルムは、定期的に孤児を引き取って育てる、育児癖があった。
人はそれを慈愛という言葉で片付けたが、ルレットが何かの目的の為に突っ走っているのは明らかだったし、あの戦闘中のやりとりも見れば、それが決してよくないであろうことは、嫌というほどわかった。
信じたい気持ちはあった。
実際、信じていた。
だが、アリスが現れ、師をこらしめにかかった。
あれも見るに、師はガインが思っている様な者ではない、としか思えない。
しかしルレットは、世間では得体の知れない人物と言われてはいたが、ガインにとっては親代わりでもある。
長年共に暮らし、言葉を交わさずともわかり合える相手だった。
そして、強く、優しく、感情豊かで、慈愛に溢れ、酒に弱く泣き上戸で、正義を愛し、誰かを欺いたり、奸計を企てたり、私利私欲の為に弟子を利用する様な者だったとは思えなかった。
「何か…何か違和感があった。師匠であって師匠でない様な」
「あれは紛れもなくルレット・ジョルカル・ランダルムだろう」
そうなのだが、しかし、何かがおかしかった様に、ガインには思えた。




