ロイドと父王の溝
ガインに背を向けたロイドは、やはりこの騎士は変わらないな、と、感慨にふける。
かつて自分を助けた様に、他人のことを考えるガイン。
「相変わらず、人間より人間なのだな」
人との縁など、稀薄なものと割り切ってしまえばよいのに、とロイドは考えている。
自分ならば、切り捨てる、と。
実際にロイドは、様々なものを切り捨てて生きて来た。
国の王子でありながら国を追われ、この魔物の騎士の激情と義憤に守られ、一度は王子の地位に戻った。
しかし父王に対する不信感、憎しみの心が芽生えた。
自分は王子を続けてはならない、と思い、王族から自ら外れた。
そして東の国へと渡り、忍となって国へと帰って来た。
忍のロイドといえば、今やその実力を侮る者はいない。
ネイティスの国民の多くは、ロイドの有り余る戦いの才能を見込んだ王の勅命で、忍の道へ進んだものと思っている。
故に、国民からの人気は高く、いつでも王家に戻れると思われている。
実際に王家からも、いつでも戻ってよいという扱いを受けている。
だがこれが、王家主導で作られた世論であり、国の為の措置であることも、ロイドと父王の溝を深くした。
ロイドは、王子としてではなく、息子として迎え入れられたかった。
肩書きではなく、自分を見てほしかったのだ。
そういった経緯もあって、ロイドは、不必要なしがらみは、切り捨てて然るべき、との思いがある。
で、あるからして、王子と呼ばれることが、あまり好きではないのだ。




