ただの、バカな子供の話
ガインは地に胡座をかいて座り込む。
「しかし、王子とあずみが師弟になるとは。あずみが忍に並々ならぬ執着を持っているのは、ブレブロの人間ならば知らぬ者はおりませぬ。故に、王子があずみと共にブレブロを歩けば、住民が王子に向かって、笑顔で拳を突き合わせる挨拶をしようとしてくるでしょう」
「何だ?その耐え難い話は」
面頬の巻きを外したロイドの口があらわになり、顔全体の表情が見られる様になった。
その怪訝な表情に、ガインは少し悪戯じみた顔で、アリスの話を続ける。
「今やブレブロはアリスの街。奴が流行の元であるものは多いのです。他人の背後に忍びより、尻に容赦なく指を突っ込む『カンチョー』なるものを子供たちの間で流行らせ、問題になったりもしましたぞ」
「ただの、バカな子供ではないか…」
「その通りです」
ロイドも地に胡座をかいて座る。
目を閉じ、溜め息をつくロイドを見て、ガインは一息笑い、さらにもう一息畳み掛ける。
「カンチョーを親たちに注意されて、意気消沈しながら謝っておりました」
ロイドはもう嫌気がさしたといった顔で、大きく肩を落とす。
「魔人の話とは思えんな…」
「これがアリスなのです。他にも…」
「待て、もう奴の話はするな。聞きたくない。ルレットの話に移ってもらいたい」
ガインは少し残念そうに小さく頷き、すぐに真剣な表情となった。




