深奥にて
ガインは、森の深奥、大木の側にあぐらをかいて座っていた。
大木の幹には、ダンジョンコアが埋め込まれている。
「さて、どうしたものか」
敵、イゴールは強い。
しかも、これといって消耗していないのだ。
対するガインは、風雷牙を放ち、途中まで全力を尽くしていた。
この差がどう戦いに関わって来るか、わからない。
だが、そこはガインにとって重要ではない。
ガインが森をダンジョン化したのは、単に時間稼ぎの為だ。
時間稼ぎと言っても、自分の回復や、相手の消耗が目的なのではない。
考える時間がほしいが故の、時間稼ぎだ。
「己や師匠でもあの体たらく」
ガインは、師匠ルレットの顔を思い浮かべた。
人間味に溢れ、楽しいことが大好きで、自分を魔物だと差別せず、育ててくれた恩人。
だが、肉親イオに敵視され、アリスに敵視される師からは、不穏な計略の匂いがしていた。
師が悪かどうかはわからない。
だが、正義ではないことはわかった。
普段の、義と慈愛に溢れた師ではなく、あの男、闇に堕ちたあの男とどこか似た匂いがしたからだ。
だから、盲信すべきではない。
場合によっては、倒すべき敵になるかもしれない。
そう考えたガインは、今度はアリスの顔を思い浮かべた。
アリスは強い。
ガインより明らかに。
だがそんなアリスよりも、SARUは強かったろう。
いや、アリスよりも、などという生ぬるい強さではない。
次元が違うとガインは直感出来た。
違い過ぎた。
だが何故か、アリスならば切り抜けるとも、ガインは思った。
ならば、自分がやることは、他の敵の撃破だ。




