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シャノンに訊く
家柄がよく、教養のあるシャノンは、魔力が関わる分野の勉学をいくつも修めたらしく、得意分野における知識は学者並みだとビクトーから聞いたことがあった。
シャノンは吸血鬼コミュニティにとってなくてはならない存在とビクトーはよく言っていた。
それは単純に財力についてなのだとマシアスは思っていたが、ビクトーが言っていたのはこういった知識についてなのではないか、と思い直す。
イゴールが前方を向いたまま、後方のシャノンに聞こえる様に声をかける。
「俺たちには蝙蝠の羽根がある。飛べば脱出出来るのではないのか?」
フォンテスも続く。
「そうだな。空が見えている」
シャノンは、器用に後ろ歩きをし、フォンテスにのみ答える。
イゴールは耳をそば立ててはいるが、何も言いはしない。
「ここは既に異空間なのです、フォンテス様。蕀のセオドールとダーハムという、小汚ないゴロツキ二人が、ダンジョンコアなしに異空間を作る術を持っていると聞きます。異空間の中に特異点を作り、それをコアの代替としているとか」
フォンテスは満足げに頷く。




