吸血の迷い
マシアス自身も、それをよくわかっている。
ヴァンパイアの気性を、よくわかっている。
総じて誇り高く、それ故、喧嘩っ早い。
ヴァンパイアは、みんなこうだ。
突然、粗暴な言動を控える様になったフォンテスは、ビクトーの瞳術で感情を多少抑制されているはずだ、とマシアスは思う。
しかし、フォンテスの素が出ることもあった。
故に、そう強い術ではないはずだ、とも思う。
問題は、ギルバーティがフォンテスに何かをした可能性があることだ。
マシアスの勝手な推測に過ぎないが、ギルバーティもフォンテスに瞳術を施している。
マシアスたちは、ビクトーに指示をもらって行動してきたが、フォンテスを抑制しているであろうことは、許せないと思っている。
だからこそ、フォンテスがギルバーティ側につくと言えば、それは異論なく従うつもりはある。
だが、フォンテスがギルバーティに操られているのであれば、仲間割れに追随すべきではない。
ギルバーティ打倒の為の仕込みをしているであろうビクトーと行動を共にすべきだ。
『フォンテス様は、操られてるかもしれねえ』
シャノンの顔が、勢いよくマシアスに向いた。
イゴールはどんどん森の中へと進んでゆく。
そしてフォンテスも。
『俺たちのすべきことは、何だ?ビクトーの指示はねえ。ギルバーティに肩入れするフォンテス様の行動も不可解だ』
『そうね。何もわからない…』
『…最悪、俺がフォンテス様を洗脳する』
『どこへ向かえばいいのか、わからないままだけどね』
マシアスとシャノンは、同時に暗い表情になった。




