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SARUと友
「妾を裏切るとは、豪気じゃの、魔拳のSARU」
アプリコットは手の甲を口元に添えて柔らかく笑い、SARUを見下す。
SARUはそのアプリコットの視線だけで、圧倒的なカリスマ性をかんじた。
衝撃が押し寄せる様な感覚が全身を襲い、一瞬たじろぐSARU。
遠い昔、仲間を裏切った時の感覚が思い出され、仲間の幻影が頭をよぎる。
共にギルバーティを倒した勇者シエロは、日本からの転移者だった。
SARUは、自分の本名はもう忘れてしまったが、シエロの名字は忘れない。
江口。
初めて聞いた時、何と安直なのだろうと笑ってしまった。
SARUは1980年から来たが、シエロは2010年から来たと言っていた。
二人は、よく日本の話をした。
30年の間に日本は色々変わっていて、シエロの話は、まるで夢物語の様だった。
携帯電話やインターネットなどはその最たるもので、着想を得た仲間が、念話の開発に一役買ったのも、懐かしい思い出だ。
仲間たちとの日々は、輝いていた。




