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マシアス弱者のジレンマ

ガインは、吸血鬼たちを見回した。

フォンテス、マシアス、イゴール、シャノン。

髪の色は違えど、赤い瞳に大きな犬歯が共通している四人。


「アリスに一度撃退されたというが」


眼中にあるのは、黒髪の巨漢イゴールのみ。

ガインにとってフォンテス、マシアス、シャノンは、とるに足らない、文字通り雑魚にしか見えていない。

それほどまでにガインは強いし、それほどまでにイゴール一人が突出していて、他の三人に意識が向かないのだ。


「ナメやがって…!」


マシアスにとってそれは、双剣のヴァリッジを思い出さずにはいられない態度だ。

一糸報いてやるという気持ちが湧き上がるマシアスだが、殺してやる、ではなく、一矢報いてやる、という控えめな考えに至った自分に気付く。

それはガインとの差だけではなく、急激に強くなっていたビクトーやイゴールの強さを見ての焦りも作用していて、弱いままの自分を見つめざるを得ないマシアスの心を掻き乱す。

そして全てがないまぜになった感情が、ゴブリンながら騎士などやっているガインへの嫌悪感と、弱くても首をもたげる、己のちっぽけな自尊心へと変換される。


「俺がやってやるよ、聖騎士ガイン」

「俺は全員でかかってきてもらって構わんぞ、小僧」


小僧呼ばわりに、マシアスの顔色が変わった。

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