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イゴールの一撃
マシアスがアリスを睨む。
ブレブロの一戦で一撃で敗れた記憶は、マシアスを昂らせた。
マシアスにとってアリスは、心の底からいけ好かない相手だ。
飄々として、マシアス自慢の魔法の短剣をものともしない、丸腰の少女。
「会いたかったぜえ、魔人!」
マシアスが短剣を左右一本ずつ持つ。
「あっこの野郎!お前こないだのホーミングナイフ小僧!先手必勝だわ」
アリスは神速で駆けた。
一瞬にして間合いに入り、左のジャブを繰り出す。
「なっ!?消え」
拳はマシアスの頭部に炸裂せんとした。
これが当たっていれば、マシアスの頭部は爆散しただろうし、続き高めの右ボディブローでも入れば、絶命した可能性が高かった。
だが、イゴールが動き、斧でアリスのジャブ、その左前腕を切り落とした。
「ぐぁぁ、ってめぇ!」
アリスは神速のままジグザグに退く。
「「「何ッッ!?」」」
驚きの表情のマシアスが。
フォンテス、シャノンが、目を丸くしてイゴールを見る。
「イゴール、今の動きが見えたのか」
「残念ながら辛うじてです、フォンテス様」
「格段に強くなり、速くなっているのに辛うじて、か。」
フォンテスは忌々しげに顔をしかめる。
「勝算は?」
「俺だけであれば、かなわない」
「俺たち全員で援護したらば、どうだ」
「勝ち目はないでしょう。今の一撃以上は望めない」
「ッッ、そうかっ…」




