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炎に包まれて
あずみを拳で貫通したSARUだが、その拳に異変をかんじた。
闇に包まれたSARUからは、伸ばした自分の拳が見えない。
拳が熱い。
まさか、これは。
あずみの背後には、カプリス。
闇の中から生えた拳に向かい、焔拳を叩きつけているカプリス。
「一発は一発だわ」
カプリスの焔拳が、SARUが伸ばした魔拳に着火し、腕を伝って体にのぼった。
焔拳。
それは、火炎と神気を纏う、浄化の拳。
カプリスの地上での通り名、炎の女神官ルレット・ジョルカル・ランダルムの代名詞であり、神殿の修道拳の最高峰の一つである。
紅蓮の炎が全てを燃やし尽くすその拳は、対魔・対アンデッドにその真価を発揮し、修道拳の中でも随一の攻撃力と謳われる。
SARUは外見は人間だが、人ならぬ闇魔、ドッペルゲンガーである。
故に、火と光ともす焔拳は絶対に食らいたくない神聖技であるのだが、炎の技は、SARUが金で裏切り袂を別ったかつての仲間の得意技。
その為、仲間の顔が浮かぶ技でもあり、金で揺さぶられた今回のシチュエーションもあって、SARUの心を大いに揺さぶった。
全身が、燃える。




