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殺人医師の行き先

こんな感情は、死ぬ前ならば持つことはなかっただろう。

この自らの大きな変化を歓迎出来たのは、やはりあの、後ろ姿の少女のお陰だ。


この世界には、魔法は数多あれど、公式に蘇生の術は発表されてはいない。

不完全な蘇生魔法(アンデッド化)の存在は確認されてはいるが、あんなものは蘇生とは言えないと、ジャン・ジャックは蔑んでいた。


殺しをせずにはいられない、ささくれた心に囚われていたジャン・ジャックではあるが、いくら破戒の道を進んでも、自分の身を立ててくれたのは修道、そして医術の道だ。

医者としての使命感や正義感などはないが、一流の医者としての誇り、驕り、自負はある。


そこに殺人衝動が被さる。


粗悪な禁忌魔法を使い、生命を(いびつ)なものにするザハーク教団を滅ぼしたい思いに駆られる。

ジャン・ジャックは、いつか、教団に潜り込む機会を作りたいと、ぼんやりと思い、はたと気付く。


教団を追えば、神殿勢力、いやガインと共闘することもあるかもしれない。

そしてもう一度、ガインと拳で語り合いたい。

その機会をこうして望めるのは、人としての完全蘇生を実現させた、あの後ろ姿の少女のお陰だ。


ジャン・ジャックにとって、ガインが友に近い何かである様に、あの後ろ姿の少女は、この世に新たにジャン・ジャックを産み落としてくれた、母の様な存在となり始めていた。

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