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悪童もヤキが回ったもんだぜ
暖かな陽射しのなか、ゴードン薬店の前には椅子に座る女が一人。
ぼさぼさ髪の、うなだれた女が一人。
「振られたああ…」
エディである。
アリスに振られた後、エディは診療所に帰って来ていた。
「振られたああ…」
「ちっ、ウジウジしてんじゃねえ」
薬店の扉が開き、中からエプロン姿の男が現れた。
男は、腰に二本のダガーをさげている。
このダガーが男の代名詞だ。
男は、エディの後ろ襟を掴み、引き倒して踏みつけた。
「おいエディ、シャキッとしやがれ、てめえ」
引き倒され、地面に倒れたままのエディは、虚空を眺めているうちに、瞳を揺らし始めた。
「うわああああん」
そして、泣き始めた。
ヴァリッジはそんなエディを見て、顔をひきつらせた。
苛立ちが頂点に達し、エディを殴ろうと、胸ぐらを掴み、拳を握るヴァリッジ。
「ヴァリッジ!あんた女の子に何やってんだい!」
ゴードンの妻エルザのゲンコツが、ヴァリッジの脳天に炸裂した。
「くそババア…!今の一撃で俺が死んじまったらどうするんだ、なあ…?」
「早く店に戻りな!」
「ちっ、悪童もヤキが回ったもんだぜ、なあ?」
エディは返事をせず、依然、虚空を眺めている。




