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異空間での交差
「そうですか。ならば合図は不要ですね」
「いらねー。跳ね返りが来た瞬間、異空間を解除して、俺たちは元の世界に脱出する」
セオドールはニヤリと、わざと笑んだ。
亜実は特に反応を見せない。
それを見て、セオドールは亜実の本気と、死の覚悟を改めてかんじた。
脱出について口にしても、亜実が感情の棘を向けないことを、セオドールは心底感心した。
「お願いします。最後に二つ質問が」
だからこそ、亜実の言葉に、セオドールが頷く。
敬意をもって。
「…おう、言ってみたらいーわ」
亜実は一瞬目を瞑り、微笑んだ。
セオドールの言葉、その言い回しが、まるでアリスの様だからだ。
「どうした?」
「うふふ、何でもないです」
「そーか?でよ、質問って何だ?」
セオドールが、真っ直ぐな目で亜実を見た。
亜実は意識の外に行っていた質問を頭に呼び戻し、少し気まずそうにはにかんでいて、最初の恐ろしい雰囲気はもうない。




