セオドールのリード
「そりゃよかった。…次の質問だ。どうやって飛んでやがる?その外套の効果か?」
ここで一旦別の話題を放り込む。
流れを変えねばならない。
『ええ』
「わかった、詳しくは聞かねー。相手の能力についてベラベラ喋る奴は信用されねーからな。次だ」
能力の詮索をされることは、誰もが嫌うことだ。
実際にセオドールも、自分たちの能力を亜実に語られていい気はしなかった。
そういった振る舞いが失敗だった、と思わせたい狙いもある。
『そういうことなんですね。私も失礼なことをしたということね。これからは他人の能力を分析して口にしたりしません。ごめんなさい』
かかった。
セオドールは、心の中でほくそ笑む。
「そーしてくれると助かるぜ。改めて自己紹介すると、俺はセオドール。こっちはダーハム。冒険者パーティー〝蕀〟の一員だ」
『私は亜実。この子の名前は今は伏せるわ』
「それはダメだ、アミ。俺たちはお前に危害を加えるつもりはねー。そっちはどーだ?」
握るところは握る。
『…わかりました。こっちも最低限の弱みを握らせないとダメってことですね。私はこの世界のことを知りません。名前を教える代わりに、あなたたちにはこの世界のことを色々教えてほしいですね。…この子はアダム。大事な子よ。この子に何かあったら、あなたたちを真っ先に殺します』
「わかった。アダムにとって悪いことは起こらねー。何だったら、偽名で俺らの街の市民権を作ってやるよ。家も用意してやる。どうだ?悪くねーだろ?」
その上で、いい条件を提示してやる。
『…悪くないですね。私たちは友人になれますか?』
「なれるな。その子とも、お前ともだ、アミ。いーな、ダーハム」
「も、もちろん」
「そーと決まりゃーよ、やることは一つだ。」
セオドールとダーハムは、亜実の前にその姿を現した。




