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異種間ネゴシエイション
セオドールは亜実を警戒する。
亜実は真っ赤な外套を纏っていて、自分たちのいる木の程近くまで、ゆっくり飛んで近付いてきた。
「それ以上近付くんじゃねー!」
『うふふ、立場をわかってないみたいですね』
少年の姿をしているが、寄生型の魔物(亜実)が本体だということはわかっている。
近くにいたら、今度は自分が寄生されるかもしれないし、生かしてはおかぬと先刻言われたばかりなので、今度は助けるなどと正反対のことを言われて、すんなり仲良く協力するなど、セオドールは出来はしないと考えていた。
「止まりやがれ!こっちには人質がいんだ!」
「まさか、俺ー!?」
「うるせー!黙れ!」
口を閉じたダーハム。
セオドールの声は真剣だ。
ならばセオドールに全てを任せ、自分はいつでも戦闘に入れる様に、神経を研ぎ澄ませておくだけだ。
「わかってんだろーな?俺らもてめーも、全員が人質だ」
『やってくれますね、セオドール』
亜実の動き、そして表情が止まった。
セオドールは、主導権を握ったと実感した。




