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空に落ちる
微かに地響きがした。
そして、アダムの髪が逆立つ。
「一体何?」
亜実は違和感をかんじたが、それに素早く気付くことは出来なかった。
セオドールとダーハムは木にしがみつく。
二人とも、顔は青ざめ、ひきつっている。
セオドールにも、ダーハムにも、そして亜実にも、ぞくりと、背筋が凍る様な違和感がはしった。
「きやがった!」
「もうイヤだーこの技ー!」
二人の叫びと同時に、空に向かって重力が発生する。
髪が逆立っていたのは、上空に引っ張られていたからだ。
しかし、地面からは小石一つ、空に向かって落ちはしない。
フィールドとして固定されているものは、とりあえず疑似重力に影響されないのだ。
「奴は何もしがみつけるもんがねー。終わりだ」
セオドールが言った瞬間、亜実の体が浮き、空に向かって落ちた。
「あら。面白いですね、うふふ。飛空魔法」
亜実は、飛空魔法を試みる。
だが、魔法は発動しない。
「どういうこと?発動しないなんて」
セオドールが、太い枝の下方に、上下逆さまに座っている。
そして、親指で首をかっ斬る動きをする。
『異空間の中じゃ、魔法は発動出来ねーよ。為す術なく、空の彼方に落ちてくたばりやがれ、謎のバケモン』
『ほんとごめんなさいー。早く成仏してー』
二人の声を聞いた亜実は。
「そういうこと」
アダムの顔で、微笑みの表情を作った。




