暴君アリスの本懐
アリスは駆ける。
少し前までの自分が嘘の様に、体が、心が軽い。
魔法の効果?
そういうことではない。
そうではないのだ。
池中の配下の動物たちに拒絶されたことなど、今のアリスには、もはや問題ではなかった。
動物に嫌われた?
だからどうした。
泥島が恋をした(かもしれない)のだ。
それに勝るものはない。
アリスの記憶の中で、泥島に彼女がいたことはない。
穴倉といつも一緒にいた印象だけだ。
ホモなのかと思ったことはある。
しかし、泥島はどうやら高木が好きそうだった。
面白そうだから高木とくっつけようとしたが、嬉しそうな泥島の顔が癪で、そして何だか高木に対して独占欲の様なものが湧いて、すぐに掌返して邪魔をした。
あの時の泥島の残念そうな表情は、得難いものがあった。
泥島は普段無気力で、穴倉とはまた違った空気、とぼけたところがある。
アリスの中では恋愛とあまり結び付くことがないのだ。
そんな泥島に、気になる相手が現れたのだ。
きっと面白い表情を色々見せてくれるだろう。
これは、何を置いてでも、邪魔せねばならない。
「絶対に面白いわ。俺の生きる道はこれだわ」
アリスは強い決意の目で頷いた。
スマホがあれば、泥島を色々と激写したいところだ。
クマガイの盗撮は気持ち悪いし許せないが、写したいものがある気持ちが、今はわからんこともないとアリスは思ったが、やはりクマガイの行為は気持ち悪かった。
会ったら意味もなく殴ってやった方がいいと思うも、触れたくない思いも同時に湧いたアリスであった。
「クマガイきしょいわ、まじひくわー。」




