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泥だんごは人間でありたい
泥島は翼竜の死骸を両腕で抱え、その顔を見た。
もう動かなくなった翼竜の目は、ただ一方向を見ているが、何も捉えていない。
それは泥島には、魔物となった自分たちの様に見えた。
闇悪夢でゴブリンたちを殺した時、泥島にあったのは、池中瑠璃への復讐だった。
穴倉を殺した池中も、池中の仲間の命を躊躇なく奪った泥島も、同じだと思った。
アリスと池中が赦し合う中、自分もいたが、後になると全員の情緒が異常だとしか思えない。
穴倉もそうだったのだろうか。
いや、逆なのではないだろうか。
穴倉は群れから離れた。
冷たい言葉と共に。
それはあの日の泥島からすれば、許せなかった。
自分の存在が軽んじられている様にかんじた。
だが、今の泥島からすれば、群れから離れることに、逆の意味があったのではないかと思う。
自分たちを大切に思ったからこそ、離れたのではないだろうか。
そう思うからこそ、穴倉を甦らせたくなった。
生きているべきは、穴倉なのではないか、と思いたかった。
確かめたかった。
泥島は眼下に広がる街を見る。
そして人の行き来を眺めながら、ゆっくりと降りて行った。




