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空に浮く泥の球
「さっさとこうしてればよかったよ」
泥島は、浮遊魔法で宙に浮き、雲の上を飛んでいた。
「いい天気ですよ。おじちゃん眠くなりますよ」
うとうとと船を漕ぎながら、しかし、進行はやめない。
レパードの首都メリディアはもう眼下に広がっている。
だが気付かず目を瞑りそうな泥島は、前方から向かって来る暗い紫色の翼竜の姿を、その視界に辛うじて捉えた。
「グォォォォォギャアァァァァァァ」
けたたましい咆哮で泥島の眠気が吹き飛ぶ。
翼竜の全長は三メートル程だろう。
「あーびっくりした。俺に恨みでもあるんですかって、うわっ!」
翼竜が火球を吐いた。
しかしソフトボール程もない大きさの泥島を狙う精度はないらしく、火球は泥島の横を飛んで行った。
翼竜のステータスを開き、閲覧する泥島。
「MP減ってるってことは、今のって魔法なんだよな?でも口から吐くってシステムがわからないですよ。俺だったら、猫舌だから無理無理」
自分が火を吐く光景を想像しながらげんなりしている泥島は、二発目、三発目の火球を難なく避け、気だるそうに翼竜を一瞥して、あくびを噛み殺しながら呟く。




