天然パーマだから怪しいは偏見
余裕綽々のユウは、完全にエタースとシャサの間合いの外だ。
だが反対に、ユウの間合いの中にいることを、二人は知っている。
〝混沌〟の二人は、背中に氷を入れられているかの様な寒気をかんじて、呼吸が浅くなる。
エタースがちらりとネネクレアを見た。
ユウがことも無げに言う。
「おいデカいの。貴様がその娘に触れる前に、私が貴様の腕を輪切りにすることはわかっておろうな。そこな娘、こちらに来い。そ奴らは悪人ぞ」
「そっ、そうなのです!?二人とも天然パーマだから、怪しいとは思っていたのです!」
ユウの方に素早く駆けるネネクレア。
その捨てぜりふに、エタースたちの顔がひきつる。
その様を見て、タツキとゴウはつい吹き出してしまった。
そんなタツキとゴウを見て、ユウが微笑む。
「少年らも、私のそばに来い。よく持ちこたえたな。弱いにも関わらず、婦女子を見捨てぬ貴様らの勇気の心、私の心にしかと届いたぞ」
タツキの目に宿っていた火花は、ユウを見て燃え盛る炎となってその勢いを増す。
「この子、すっごく強い…!」
その顔は、攻撃的な笑みに満ちていた。
ゴウは緊張感から解放され人心地つくも、超人勇者にとって歯牙にかける存在ではない自分にやや落胆し、苦笑いの顔になる。
ジアナはというと、遠く後方に立つユウの存在が、目の前にそびえ立つ頑強な城壁の様に思え、安堵の表情を浮かべていた。
そしてネネクレアは、ユウの後ろまで退がり、エタースとシャサの髪を凝視して顔を歪めた。
そのネネクレアの表情に、エタース、そしてシャサが激高した。
「ふざけんじゃねえぞ!俺たちの天然パーマは関係ねえだろうが!」
「俺のは天然じゃねえ!」
思い思いの怒りを声に乗せて叫んだ二人に、ユウが微笑み混じりに首をかしげた。
すると栗色の直毛がまたさらりと流れ、少し顔にかかった。




