寝起きの超人勇者
その時だった。
「うるさいぞ貴様ら!」
入口付近のテーブルに突っ伏して寝ていた少女が顔を上げ、声を張り上げた。
栗色の髪はさらりと流れ、寝ぼけ眼といった雰囲気で半眼に開けられた目はしかし、日だまりの中で琥珀の様に輝いていて、その美しさに誰もが一瞬呆けた。
まだあどけなさが残る顔は、タツキ、ゴウ、ネネクレアたちと同年代だろう。
ゆっくりと立ち上がるその体躯は、存在感と裏腹に、意外なほど小さい。
着ているのは神殿製の銀の鎧。
後ろ腰には水平に差された剣。
その姿を見て、誰もが息を飲んだ。
最強。
竜殺し。
燦然騎士。
人類の希望。
超越する勇気の体現者。
様々な呼び名がある、生ける伝説。
「超人勇者…!」
誰かが言った。
そう、少女はかの超人勇者。
「ユウ・ジョルカル・ランダルム・ジダールである。ふむ、少年少女をかどわかす〝混沌〟の二人よ。お主ら、何やらよくないことをしようとしておる様だな」
エタースとシャサが歯噛みした。
「自覚がある様だな。ガイン兄様ならば、貴様らの首を既に斬り飛ばしておろう」
「全力で行くぞシャサ!」
「言われるまでもねえよ!」
エタースがネネクレアを離し、匕首を左手に持って、手を広げる。
シャサはバグ・ナウではなく、両袖から出した長い針を左右一本ずつ持ち、蟷螂の構えを取った。
ユウが長いあくびをする。
「どうした?かかって来てよいのだぞ?」




