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六芒星の子

再び煙草の臭いが充満した空間を目の当たりにしたネネクレアは、目に染みる紫煙に目をしばたかせながら、真っ直ぐ歩を進める。

というより、後ろの男に真っ直ぐ押されているのだ。


「受付カウンターはここ」


行き着いた先、そのカウンターの向こうには、ネネクレアより十歳程上であろう女が椅子に座っている。

女は、白いブラウスに茶色のジレ、裾長のスカート。

ギルドの受付嬢として、特に目立った点はない。

黙々と、何やら書類を片付けていた。

それは、ネネクレアの前に受付を済ませたであろう人物についての書類だろう。


「こちらに記入を」


受付嬢が差し出した書類には、左上に日付、名前と年齢を書く欄と、残りのスペースいっぱいを使って描かれた魔法陣その真ん中に、拇印を押す欄があるのみ。


「ご自身の血で拇印をお願いします」


愛想のない受付嬢から、針が一本だけの剣山を手渡されたネネクレアは、親指を押し付け刺し、傷をつけた。

そして魔法陣の真ん中へと、滴る血による拇印を押す。


すると、魔法陣の真ん中にネネクレアのLV、そして六芒星の尖りの先に、ネネクレアが生まれながらにして持つ魔法属性が浮かび上がる。


受付嬢ジアナは驚愕の表情を隠せない。


一般的には、生まれながらにして魔法の属性を持つ者はほとんどいないとされ、通常は訓練によって獲得する。

光、火、水、風、土、闇の六つに分類されるそれは、獲得した者が大魔法を使える様になる、と言われてはいた。


実際には、生まれながらにして持った属性の魔法の修得、上達が速く、無詠唱で使える様になる者も多い為に、尾ひれのついた噂が立ったのだろう、と水の属性を持つジアナは思っていた。


稀に、生まれながらにして属性を持つ者が生まれ、その属性の第一人者となるのが常ではある。

属性は、一つ持って生まれるだけでも、神からの贈り物と言われ、二つ持って生まれれば、名だたる英雄になる者は多く、三つ持って生まれれば、聖人や大魔導士になった者もいる。


かの炎の女神官ルレットは一つ持ち、混沌のレインは二つ持ち、妖霊の仮面の妖術師などは四つ持ちだという。


属性を一つ持つだけでも、驚くほど有利だと、己の身を持って理解していたジアナは、ネネクレアの持つ属性に驚いていた。


ネネクレアは、光、火、水、風、土、闇の六属性を持って生まれた稀少な完全六芒星の子であったからだ。

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