旅立ちのネネクレア
キーネが立ち上がり、カウンターのネネクレアに顔を近付ける。
ネネクレアは、たじろぎ後ずさりするが、カウンターが背にあり、逃げられない。
キーネが目を剥く。
「あんたが採りに行きな。こういう時の為に、あんたの居眠りを見逃しているんだからねえ」
「このドケチ師匠、弟子使いが荒いのです。でも、師匠は高齢だし、私が行くのが筋なのです。予想はしてたし、大丈夫なのです。わー」
ネネクレアは二階へ、どたどたと上がって行き、そして大きなリュックを背負い、杖を持ってどたどたと降りてくる。
「わー」
「相変わらず、用意が早いねえ」
「それが取り柄なのです。じゃあ行ってきますなのです、お師匠さま!」
「頼んだよ。ほら、今月分の給料の半額前払いだよ」
「一見優しそうな半額前払いの裏にある、もう半額は成功報酬だよという、お師匠さまからのプレッシャーをかんじるのです。こんな会社辞めてやる!のです、いつか」
「いつになるかねえ。ほら、魔力ブーストのポーションだ。奮発して三本やるから、生きて帰って来るんだよ」
キーネは、この店で一番高いポーションを三本、ネネクレアに持たせた。
一本辺りの値段が、白金貨三枚(30万円)ほどするポーションだ。
何ごともなければ売るなり何なり出来る、現物支給のボーナスだ。
「辞めないのです!死なないのです!お師匠さまの、弟子への愛をかんじるのです!」
ネネクレアは、元気に店を飛び出して左に曲がった。




