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店番のネネクレア

ン・ディータ・フェーデ・レパード公国首都メリディア。

その一角に構えられた小さなポーション店、ムーラン商店は、老婆キーネ・ムーランが営む店である。


店番は、弟子のネネクレア。

藍色のローブに小柄な身を包み、太股まである長い長い黒髪を後ろ腰で束ねた彼女ネネクレアは、住み込んでいる店の二階の部屋で、毎夜遅くまで勉強している。


部屋には、所狭しと本が積まれており、年頃の少女の部屋というよりは、研究者の書斎にしか見えない。

その勉強は、錬金の魔法についてであり、今は、店の収入の大半を占めている瓶の製作の精度を上げることに力を注いでいる。


「ううー、寝ちゃってたです…」


寝不足のせいで、窓から入る陽射しに眠気を誘われ、こくり、こくりと船を漕いでいたが、不意に目を覚まし、ゆっくりと伸びをしたネネクレアであった。


狭い店内いっぱいの薬棚にはポーションが並び、その一角には様々な空き瓶。

カウンターの下の引き出しには、小さな仕切りで分けられた軟膏や、貴重な薬などが、ぎっしり入っている。


奥で調合作業をしているキーネは、あくびをしているネネクレアを見やって微笑んだ。

キーネは、ネネクレアの居眠りを咎める素振りすらない。

それどころか、逆に気を遣うほどだ。


「最近、勉強し過ぎじゃないのかい?客もいないんだし、もうちょっと寝ておきな」

「そうは行かないのです。お師匠様は、材料費は限界までケチるしみったれのくせに、私が居眠りしてもお給料から天引きしないので、せめてしっかり働かないと悪いのです」


悪気はないが、少々毒を吐く。

ネネクレアは才能ある魔法使いであるが、この悪気ない毒舌のせいで、薬草採集の際にキーネと組んだ以外、パーティーを組めたことがなかった。

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