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秘剣炸裂

「らちが明かないな。」

ガインは、一体一体スケルトンを叩き潰していたが、それに辟易し始めていた。もう三十体以上はスケルトンを潰したし、二十体以上のゾンビの首から上を胴体から斬り離した。だが、周囲にはまだまだアンデッドが蠢き、さらには、次から次に強力なアンデッドが湧き出している。そのうち数体が屋敷に侵入したが、オーブの大群にタコ殴りにされて、ものの数十秒で滅ぼされた様だ。ダンジョンボスのガインは、ボス部屋に設定したユウの部屋以外の気配を感じることが出来る。ガインの強さの影響を色濃く受けたダンジョンでは、オーブですらも強いものが生まれる。その強さにガインは安心したが、数十秒かかったことに懸念が生まれた。

「…邪神に進化したな。」

急がねばならない。邪神に進化したばかりの今ならば、まだ弱いはずだ。今のうちに倒さねば、どんな大惨事を招くかわからない。

「今やらねば。」

ガインには、アンデッド共を一網打尽にしながら、邪神を貫き滅ぼす一手がある。


「風よ。」

ガインを中心に、風が巻き起こる。


「雷よ。」

剣に電撃が走る。


ガインは、右半身を前にして、左手一本で持っていた大剣の柄に右手を添え、両手で握りしめた。そして、顔の左側に、弓を引く様に構え、突きの体勢を取った。


本来、右利きの剣士の場合、剣は左手を軸にする。意外なことに、利き腕の逆側の手が軸になるのだ。右利きは、柄の先端側を左手で握って振るい、鍔側を持つ右手は、制御の為の補助なのだ。よって、右手が軸になるこの構えは、基本と照らし合わせれば邪道にあたる。だが、邪道だからこそガインの師らしい技であったし、魔物でありながらテンプラーという、存在自体が邪道じみているガインとしても、気に入っている技だった。


「神気、発動。」

聖なる輝きが、ガインの体全体に満ちる。


ガインは、弓引き剣の体勢のまま、左の握りを解き、左掌(ひだりて)で柄を押す構えを取った。

「秘剣、風雷牙。」

風に押し出され、雷に乗せた神気を纏いながら、ガインは丘の上の監視塔に超高速で突撃する。射線上のアンデッドが全て消し飛び、雷と神気を孕んだ砂塵が舞い上がり、風によって撒き散らされて、砂塵を被った射線外のアンデッドも滅んで行く。

監視塔の上の術士を狙って上昇したガインの突きは相手の右半身を貫き崩壊させた。


その瞬間、ガインとデシネは、お互いの顔を見た。

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