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虹の復活
雨があがった。
森は、雨と土の匂いが混ざり合った冷気が漂い、そこに緑の香りが加わる。
春花の去来は雨期の到来を告げ、緑の下には無数の水溜まりが点在して、日の光を反射して輝くものがある。
その中に、まさに虹の色彩を持つ、鮮やかな水溜まりがひとつ。
先日そこから立ちのぼっていた黒い靄は、今はもう霧散していて、虹色の水溜まりは一跳ねすると、楕円の球体へとその形を変えた。
「何故、生きている?」
池中瑠璃は、状況を把握出来ないでいた。
記憶にあるのは、アリスとの別れ。
アリスを殺し、穴倉を殺した。
さらには泥島と対峙した。
戦いの衝動を抑えられない、凶悪な魔物になった自分を終わらせようと思った。
終わるはずだった。
だからこそルリは、気持ちをさらけ出しての別れに踏み切った。
なのに生きている。
となると答えは一つだ。
「アリスのやつ、ドッキリのつもりね…!さすがにこれは許さないわ。ぶっ飛ばしてやる」
ルリは森の動物たちに、怒りの念話を飛ばす。
『みんなおはよう、復活したわ!早速だけどアリスを探してちょうだい!この森のどこかにいるはずよ!』
ルリの復活に、森中の動物が歓喜の声をあげた。
『うるさい!いいからアリスを探せって言ってるのよ!』
即座に黙った動物たちが、森を駆けた。




