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ヴァリッジが怖い
あの日、結局戦いはうやむやのうちに終わった。
泥島の中では、ヴァリッジとはあのまま戦いたくはなかったが、あの魔法剣というものには興味が湧いた。
そう。
泥島は魔法剣に魅せられていた。
ミスリルを傷つけることが出来るであろう剣に。
…厳密には、魔力が宿っている装備、魔法装備の性能に興味が湧いていた。
あの時、魔法剣の性能を体感することは出来なかった。
アリスが割って入ったことには感謝してはいる。
だが、一太刀二太刀斬撃を食らい、その切れ味を見てみたかったと、泥島は今になると思う。
「とは言っても、怖かったよなあ、双剣のヴァリッジ…」
抜き身のナイフの様な男だった。
アリスはヴァリッジにわだかまりがない様だったが、泥島にとってヴァリッジは、恐怖の対象だった。
強さでいえば、アリスより確実に下だろう。
だがヴァリッジには、未知の怖さがある。
その怖さは、魔法剣による怖さも含まれている。
ヴァリッジはどこまで強いのか、魔法剣はどこまで自分を斬れるのか。
二つの怖さは結びつき、泥島を突き動かす。
もっと強くなりたいと思った泥島であった。




