表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
434/2233

アリス泣く

「あっのっこっはった●よ~うのっこまちっエェンジェル!やっやっみっだっれてよう、せぇ~い!」


木の枝を手に持った少女の、調子っぱずれの歌声が森にこだまする。

アリスは、復活する池中瑠璃を回収しに来ていた。


「おっ、あれだわ」


アリスの視線の先には、黒い気立ちのぼる虹色の塊ひとつ、池中瑠璃の死体がある。

周りには、瑠璃を守る様に取り囲む動物たちがおり、アリスに敵意を向けて来るが、アリスは意に介さない。


何故ならば、アリスには、瑠璃との間にわだかまりがない。

一度殺されはしたが甦ったし、好きだと告白されたことで、旅の道連れにしてイチャイチャすることしか、もう考えられない。

瑠璃だって、甦ればきっとそのはずだ。

故にアリスは手を合わせ、浮わついた気持ちで動物たちに明るく語りかける。


「ごめんて!池中生き返るから許してほしいわ」


だが、動物たちの目は怒りに満ちている。

アリスが近付くと、動物たちはモーゼの十戒の様に割れ、アリスを避ける様に下がる。

それでいて、瑠璃の周りからは退かず、行く手は阻む。

中には、アリスの手などに噛みついてきた者もいた。


血が滲む手と、噛みついた者を交互に見やったアリスは俯き、瞳を涙で潤ませながら、動物たちに背を向けた。


アリスは、念話で非難してくる動物たちの声に無言を貫き、その場を後にして、瑠璃が用意した、いつかの木の穴の家まで来た。

穴の中に入ると体育座りになり、膝に腕を、その上に額を乗せると、大粒の涙を(こぼ)した。


「池中が何をやってあぁなったとか、俺と池中の間に何があったかとかちゃんと知らんで、うわべだけで判断しておかしな態度取りやがって。俺があいつらの為に色々してやった恩も忘れてよぉ。池中も、恩知らずのこんな森ももう知らんわ」


雨が降り出した。

そして小雨が、次第に豪雨へと。

雨音が森の音を掻き消す。

アリスは声をあげて泣いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ