妖霊の蠢き
街中を歩く、バンダーベルグ、ブリスコ、ラス、クルーサリティス。
ラスは歩を進め、バンダーベルグの前に出た。
そのまま向き直ることもなく、言葉を発する。
「侵入者は、瞳術で看守を操って脱獄した二人組。同じ牢に入れていたクマガイという男も一緒に脱獄していましたが、魂を抜かれた状態で、地下最下層に倒れていたのを、クルーサリティスが発見しました。だよな、クルーサリティス」
「はい。報告によると、脱獄犯の二人は、東国のキモノを着ていたとか。その上、瞳術を使うとなると、侍か忍かもしれません。そして下層に降り、地下牢の二人が交戦しましたが敗走」
虚ろな目をしたクルーサリティスは、バンダーベルグに駆け寄って小声で報告する。
バンダーベルグは眉をひそめた。
「…敗走?負けたのか」
「はい。そして契約を一方的に解除しました。そしてギルバーティの消失。違約金は昨日支払われました」
「何?そんな金があの二人にあるのか」
「…レパードの公女から届きました」
「何…?」
バンダーベルグはブリスコを睨む。
「そういうことか…」
「王女は、バンダーベルグ殿と私の繋がり、ギルバーティ本体から出る魔力による魔石とモンスターの発生を知り、地下牢の二人を送り込んで来た。
私たちの犯罪を告発しない代わりに、あちらにも同じ利益を寄越せと、そういうことではないかと…」
「全てが後手に回っているな。おのれ騎士姫、食えん小娘だ…!」
「どうする、バンダーベルグ殿」
「決まっている」
一行はバンダーベルグ邸に到着し、屋敷の中に入った。
使用人たちが両側に列をなし、膝をつく。
階段の手前で、ラスとクルーサリティスも膝をつき、一階フロアは瞬く間に王城の玉座の様相を呈した。
大臣ブリスコは、その光景にただただ圧倒されている。
階段を昇り、向き直ったバンダーベルグが、亜空間から仮面を取り出し、装着する。
「狙うは騎士姫フィオラ・レパード。そして地下牢の二人、タツキとゴウの首だ」
クルーサリティスの目に、今日初めての光が宿った。




